コロナ時代と囁かれ始めて久しい今日、世界中で新型コロナウイルスが猛威を奮っています。
全世界の感染者数や死者数はもちろんのこと、経済的な打撃が半端ではなく世界中の国が甚大な被害を被っています。
日本は世界的に見ても異例で、特別厳しい措置もせずに死者数や感染者数が他国に比べてかなり少数で、
外国人は首を傾げ、ついでに僕たち日本人の多くも首を傾げています。笑
僕の中にもなんとなく考えはある’のですが、確証等は何もないので多くは語りません。笑
(ちょっとだけ言わせて貰うと(笑)、“日本人は清潔だし距離を置く文化だから感染が広まらない”とかありますが、人口密度の低めで接触の少ない欧米で本当にあれだけ広まっているのであれば(ヨーロッパの全ての国にキス文化があるわけでもないし、日本人と同等、中にはそれよりも清潔な国民性を持つ国もあります)、日本の都市部の人口密度かつ満員電車があるぎゅうぎゅう詰めの日本で感染が広まらないわけがないです。)
コロナウイルスがまだ世界的流行を起こしていない今年の始め、日本には他国よりもいち早くコロナが到来しました。
そしてそれに伴い大きなニュースになったものがあります。
そう、豪華客船。言わずもがなダイヤモンドプリンセスの事ですね。
僕はこのニュースの真っ只中、他の豪華客船に乗っており同僚たちとも
日本の船がヤベェと話題になっていました。
僕の船は九分九厘安全でしたが日本に帰国した3月下旬、
当時話題の豪華客船に乗っていた僕は結構周りの人からはビビられていました。笑
今回はそんなとんでもない時代を船上で過ごした僕が初めての船で経験した異例の事態についてお話しします。
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僕の船は本当に安全だった?
僕は当時イギリスの船会社P&OクルーズのVenturaという船に乗っていました。

ホームポートはイギリスのサザンプトン。ロンドンから一時間半程度で行ける距離です。
基本的な航路はヨーロッパ中心なので結構心配されていました。
しかし僕の船は2月の中旬からヨーロッパを離れ、
カリブ海、アメリカの航路1ヶ月半の長期クルーズに出発したのです。
2月の半ばといえば、日本を初めアジア各地でコロナウイルスが広まり始めた時期で、
船内の状況も今アジアやべーな程度の認識でみんなのんびりと構えていました。
イギリスを出発し、カリブ海を渡り、アメリカに差し掛かった3月上旬、イタリアをコロナが襲撃。
それから数日のうちにヨーロッパ中にあっという間に広まり、船の上ではこれちょっとやばくねムードが漂い始めます。
アメリカはその当時はまだケース数もヨーロッパよりも少なかったのですが、
停泊したフロリダとマイアミには数件だけケースがありました。
この時は確率は低いとは言え乗客がどこからか持ち帰った可能性は拭えず、少しだけ不安でした。
それから2週間かけてヨーロッパに帰るのですが、その途中に停泊するのは
ケースゼロのカリブ海の島々です。
なので他の船がウイルスを持ち込んでそれを貰う以外に危険性は考えられなかったのですが、他の停泊している船もカリブ海を回っている船。
そして感染が爆発的に増えてるヨーロッパからその数週間でそこまで到達するのは不可能だった為、他の船からの感染リスクも極小だと考えました。
そしてアメリカからコロナを持ち込んだ可能性もほぼないと確信に変わりました。
理由は乗客が皆ピンピンしてたからです。笑
そのクルーズに乗ってた乗客の平均年齢は70歳を越えていました。
縁起の悪いこと言いますが、もしコロナが船内に広まってたら危険ゾーンの人たちばかりの環境で平和なわけがありません。
というわけで僕たちの船は安全だと僕は認識していました。
感染件数は上がり続け、ついにパンデミック宣言がWHOから出ます。
ヨーロッパに到着するも、最後に着港する予定であったポルトガルは港を閉じ、最終的には1週間と少し海を上を進み続ける形になります。
次のクルーズとかどうなるんだろうと思ってたら、ニュースが出ました。
”船、全面停止。”
そりゃあそうです。開いてる港ないですから笑
とりあえずイギリスに到着した時は船の上は安全で、外からコロナが来る!という不安の方が大きかったです。笑
船内のウイルス対策とは
基本的にコロナに限らず船内では感染症をがとても危険です。
なのでもちろん船内には結構厳しい規則があるんですよ(クルーズ会社によっても違いありです)
クルーはそれを承知な為、そのルールの下で生活しています。
例えばもしも下痢や嘔吐などがあった場合、すぐさま仕事を中断しキャビンに戻り、
部屋からドクターに連絡しなければなりません。
そして例え熱などがなくても最後に症状が出てから73時間隔離されることが原則です。
三日後にドクターが大丈夫と判断すれば仕事に復帰できます。
たとえ前日に飲み過ぎて下痢になったとかでもドクターに報告からの3日隔離です。笑
地上では気にしないことでも船上では気をつける必要があります。
この他にも沢山のインストラクションがあり、感染症対策にはかなり力を入れられています。
それでも感染症が完全に防げるわけもありません。
特にゲストはルールなんて気にしていませんから、感染症はゲストの間で広まり、クルーにも広まります。
例えばノルウェークルーズなどにいった帰りではしょっちゅうノロウイルスが流行します。笑
客が魚から持って来ちゃうのです。
感染が広まればレッドレベルが発令されます。
レッドレベルとは感染症などで船内環境が悪くなった時にそれを改善するために施行される措置です。
ランクがありますが、基本的にはクルーとゲストを切り離すのが大きな目的です。
ゲストには手洗い、手指消毒がしつこいくらいに推奨され、レストランなどにもチェックする人が入ります。
クルーは原則ゲストエリアに行くのは禁止されますし、消毒の義務、皆が触れる書類の撤廃など、結構力を入れて行われます。
そして新たなケースが数日出なくなるまでそれは続きます。
つまるところ今世界中がコロナに対して行っていることを僕らは割と船で頻繁にやっているってことです。
新型コロナへの対応も基本的にそれと同じでした。
例え船内にCovid-19が存在しなかったとしても可能性は全くのゼロでは無いので最後にイギリスに到着するまで徹底されて行われました。
イギリスに到着し乗客を下ろす時にはイギリス政府からの要請で、間隔を開けてグループに分けて降ろすよう指示が出ました。
三月の中旬、イギリスは集団免疫獲得のため規制を厳しくしてはおらず、僕たちも港に着いた後は1週間ぶりに地面を踏むことができました。
今もなお船内に残るクルー達
港に着いても不安は消えず、
いつまで船が停止するかわからない、国に帰れるすらかもわからないという状況だったので
僕は数週間海に隔離されるの覚悟で、それなりのお菓子とニンテンドースイッチ の新作ゲームを調達してました。笑
(その頃はちょうどみんなでバーで飲みながらスイッチをするのが流行っていたのです笑)
しかしその二日後、会社から国に帰るためのチケットを受け取りました。
無事に国に帰れたのですが国に帰れたのは僕を含め、国境が開いている国の国籍保持者のみ。
インドやフィリピン、南アフリカ、ポーランド、ウクライナなどは国が完全に国境を閉ざしていたので、
自国の国境が封鎖された国の人たちは船に待機となりました。
僕の彼女もポーランド出身なので船に残ることになりました。
その彼女が国に帰れたのはつい1週間前のことです。僕が船を降りてから約2ヶ月半もの間船に残っていました。
僕たちはイギリス船でイギリスは港に降りるのに寛容なので最終的には帰ることができましたが、
アメリカ船はめちゃくちゃ厳しいです。
ホランドアメリカやロイヤルカリビアンなどの船会社でいまだに船の上にいる人が沢山います。
日本国籍を持つ友人も船から降りれないので海に立ち往生です。
皆ゲストキャビンに移り、食事などの保証はされているので地上のある地域よりも安全かもしれませんが
国に帰れない、家族と会えない辛さというのは結構ストレスになる人は多いです。
電話等で話すと割と快適そうに暮らしている部分もありますが、笑
少しでも早く彼らが国に帰れることを祈っています!
これから船業界がどうなるか、それは正直誰にもわかりません。
僕は8月から船に戻る予定ですが上に記した通り、豪華客船は感染症にかなり厳しく、脆いのです。
僕たちがどんなに気をつけようが、船の上では流行はあり得ます。
例えこのまま件数が下がったとしても、人々の安全を考えると
しばらくは船の活動はを止めるべきなのでしょうが、経済的な面を考えるとずっと止めておくのも大変です。
もしも1年間オペレーションを再開できない場合、ほとんどの船会社が倒産すると言われています。
下はCarnival, Norwegian, Royal Caribbianの三社の比較です。
今は船会社にとっては正念場になりそうです。
航空会社やツアー会社も含めて、観光業界は総じてかなりの痛手ですね。
できることなら少しでも早く通常に戻って欲しいですが、
僕の中では数年単位で今の状況を和解してく形になりそうだと思っています。
なのである程度まで行けば多少のリスクを覚悟で動き始める必要があるのではないでしょうか。
過敏になり過ぎて経済的な損害が大きくなればなるほど元の生活を失い苦しむ人は増し、
集団免疫の獲得も先へ先へと引き伸ばされ、いつまでも終わらない事態になります。
多くの人にとって、この状況自体がウイルスそのものよりも脅威になりえます。
そうなれば本末転倒です。
思い切った判断で社会が動き出さない限り、船会社の存続は危ないのは間違いありませんね。
長くなりました。
憶測の部分も大きいので、個人的な意見が多いです。
船に関しても会社から連絡があり次第またアップデートしていきます!