僕が鍼灸治療をする際には間中式を好んで用います。
間中式鍼灸は日本の外科医である間中善雄により発展した治療法ですが、今日の日本ではあまり見かけない治療法になってしまいました。
日本ではもう消えかけている治療法ですが、海外では日本鍼灸の一つとして比較的有名な治療法です。
以前の記事で流派に縛られると足かせになるという考えを書きました。

しかし僕は治療をする際には様々な考え方を織り交ぜて治療しますが、メインの治療の流れとしては間中式の方法を用います。
流派や方法などに縛られることは治療家にとってマイナスだと思っている僕がどうして
間中式というやり方を実践しているのか。
間中式の考え方を含めて書いていきたいと思います。
Contents - 目次 -
間中式鍼灸とは
Manaka style acupunctureとして世界中で知られている間中式鍼灸は
1960年代に日本の外科医である間中善雄によって生み出された治療法です。
生まれて半世紀ほどなので、全体的な鍼灸や中医学などの歴史と比べると比較的若い鍼灸に分類されると思います。
考案者の間中善雄(1911~1989)は外科医でありながら、鍼灸や東洋医学に多大な興味を示しており、
西洋医学に移行する流れにあったその時代には逆行しているので周りから変人と呼ばれる医師だったようです。
しかし考えられている常識を常に疑い、考察することをやめない探究心を持つ研究者でした。
語学も堪能で、日本語と英語はもちろん、中国語、フランス語、ドイツ語も扱うことができたようで、それが今では世界中に広まっている間中式の由縁とも言えると思います。
さて、その間中式治療を一言で簡単に説明すると
奇経八脈を用いて電子を動かし、全体的な調節を行う治療法になります。
電子は“氣”に近い概念だといいう考えは昔の記事で書きました。
なので電子を動かすことと氣を動かすことは非常に近い概念だと思っています。

法則に縛られすぎない間中式
治療全体の中には4つのステップがあります。
1.陰(腹部)の調整
2.陽(背部)の調整
3.骨格系の調整
4.症状に対する治療
見るとわかる通り1~3のステップは本治法で、最後のステップが標治法です。
外傷などの器質的な痛みにも効果的ですが、
個人的には内科系の機能的な症状に、より大きな効果があると感じます。
最初に話した通り、一つの治療法に固執しすぎることは危険だと思っています。
間中式を最初から始めると基礎的な腹診方法や、各ステップの治療法などを勉強します。
もちろん基本を覚えることは大事です。
基盤がなければその上に治療法を組み立てて新しい法則を生み出すことは不可能だからです。
しかし間中式の本当の大事なところはそこではありません。
間中式鍼灸だからと間中善雄の考えにしたがって、
間中式を習った通りに行うだけでは”本当の間中式”ではないんです。
”間中式のやり方をしっかりと実践すれば、間中式ではなくなる”
ちょっと意味がわからないですよね笑
間中善雄は常日頃から自分の教え子にこう説いていたようです。
“私が教えることを信じるな”
”気になることがあれば、自分でやって確認してみて、その結果を私にも教えてくれ”
間中善雄は自身の考え通り、様々な治療家のセオリーや治療法を拾ってきては、
自分の治療にも適応できないかと常に考えていました。
他の治療家の考えをそのまま信じず、実際に自分で実践して反応を確かめ、
それを更により良い治療法に発展できないかと常に次を考えていました。
そう考えると習った方法をただ実践するということがいかに間中の本当の考え方から外れているかが見えてくると思います。
習った間中式をただ実践してるだけでは本当の間中式ではないんです。
4つのステップのうち、それぞれに用意されている基本的な治療法はいわば
間中善雄からの一つの考えです。
あとはそれを使うもよし、あまり変化が見られなければそれをアレンジして自分なりの方法を用いるのもよし。
どちらも十分間中式なんです。
邪道なんて存在しません。
言ってしまえば、既存の方法で満足してしまう方が邪道です。
間中式の持ち味はその自由度です。
その自由があるからこそ僕なりの治療法をその上に組み立てることができます。
だからこそ僕は間中式が好きなんだと思います。
終わりに
今回の記事で初めて間中式の考え方について書きました。
流派や法則に縛られることに価値はないと考える中で
僕が間中式を好む理由がなんとなく伝わったのであれば幸いです。
上には間中式は電子を動かして全身を調節するものだと書きました。
鍼灸はどのようなやり方でも、少なからず電子を動かします。
間中善雄は鍼灸を愛していましたが、本来は外科医です。
加えて物理学にも精通しており、量子力学にも多大な興味を示していました。
彼は電子を動かそうと実験を重ねた結果、ある方法を考え出しました。
身体に極性を持たせると電子の動きはさらに活発になる。
それを鍼灸に応用したのが間中式鍼灸と呼ばれるものです。
具体的にはどうやって身体に極性を作るのか。
ここから一気に説明するのは難しいので
数回に分けて徐々に話していきたいと思います: )
はじめまして。間中式イオンパンピングについて調べていたらkokiさんの記事にたどり着きました。
お尋ねなんですが、kokiさんは間中式鍼灸をどの様に勉強されたのでしょうか?またイオンパンピング治療について参考になる書物などありましたら教えて頂けると嬉しいです。
私自身も鍼灸師なんですが間中式鍼灸にとても興味があって間中先生の本を治療の参考にしています。本の中にイオンパンピングについて書いてあったのですが詳しい情報がなく色々調べております。
KANAKOさん、コメントありがとうございます!
イオンパンピングは間中式で日本発祥ですが、日本よりも海外の方が人気ある治療法だと思います。僕はイギリス人の師匠から一緒に働きながら教わりました。
インドネシアのジャカルタでも2、3度セミナーにアシスタントとして参加したこともあり、よく臨床では用います。
Stephen Birch博士のChasing the Dragon’s Tailは読みましたでしょうか?英文書ですがかなり詳細まで間中式のことについて書かれています!
このブログの最新の記事にも書きました通り、僕は最近Clubhouseで話す機会をよく設けているのでもしアカウントをお持ちでしたら近いうちに間中式について話していく予定です!挙手していただけると直接お話しできるのでぜひご参加ください!:)
KOKIさんご返信有難うございます!
間中式を海外で学ばれて臨床でも実績を出されているKOKIさん凄いですね!
私の周りにはイオンパンピングを臨床で使用している先生がいないので情報を手探りしている状態です。
教えて頂いたChasing the Dragon’s Tailは持っていないの早速海外の本屋に注文しました。
洋書なので頑張って読みたいと思います!
Clubhouseは最近知ったばかりでアカウントを持っておらず申し訳ございません(^^;
間中式についてまたお尋ねする際は宜しくお願い致します!