僕たちが生きている、そして僕たちが認知できる世界は基本的に3次元です。
しかし世の中には僕たちの常識が通用しない別次元の世界があります。
その一つがミクロな素粒子の世界、量子の世界です。
その不思議な特性も世界中の物理学者の長い時間をかけた努力により、徐々に姿を見せつつあります。
特筆すべき特性は量子もつれや、スピン、非局所性などであり、それらの奇妙さはこれまでの記事に書いた通りです。
そして他にも僕たちには
存在は知ってるはずなのに理解しがたいものが存在します。
今まさに感じている僕たちの意識です。
脳とは人体の中でもまだまだ未知の分野です。
そしてその脳について深く考えて行くと、
脳は量子の存在抜きには語れないものだと思ってしまいます。
この話は人間の持つ複雑な脳は、量子の特性が生み出す量子コンピューターと同じものではないかという考えの話です。
なお、これは全く科学的に解明された話でもなんでもないので暇つぶし程度に見ていってください笑
少し長くなりそうなので2パートに分けました。明日出すので是非まとめて読んでください。
そして今回も量子の不思議な特性について話が出るので以前の記事を読んでない人は昔の記事を先に読むといいかと思います。
特に量子もつれについて知らない人は多分読まないとわかりません。

Contents - 目次 -
脳とコンピューターはどう違う?
まずは僕たちが日頃から扱っているコンピューターと、人間の脳の働きはどう違うのでしょうか。
まず目に見える違いとしては計算方法が違います。
脳とはニューロン、神経細胞の集まりです。
ニューロンの数は1000億個以上と言われ、
その一つ一つが違った結びつきを持つことで様々な神経活動を起こしています。
心や感情などもその複雑な電気信号の結びつきにより生み出されているものとされています。
基礎生理学で習う通り、基本的に感情は扁桃体という脳深くにある場所の信号によって生み出され、
意識や理性は主に前頭野により制御されます。
しかしいずれも神経細胞が違った形で繋がり合うことで、様々な信号(感情)を生み出します。
膨大な数の神経細胞が繋がり合うパターン数を考えるとそれは天文学的数字であり、
それが僕たちの持つ複雑な意識を作り出します。
対してコンピューターは二進法と呼ばれる方法で計算します。
ビットと呼ばれる1と0という二つの数字が複雑に並び、バイナリを形成することで様々な信号を作り出します。
マトリックスという映画を見たことがありますか?
映画内のマトリックスの世界で頻繁に描写される1と0の数字の羅列は、
あれが並んでマトリックス(コンピューター)の世界の全てを作っているという意味の描写ですね。
子供の時はちんぷんかんぷんで見ていましたが。。笑
この神経細胞の繋がりと二進法のバイナリという二つの計算方法。違いは非常に大きいです。
細かな違いはたくさんありますが、それらの違いを大きくまとめるとすると、計算の得意分野の違いです。
それぞれが得意な計算
人間の脳は数字の計算には向いていません。失敗、エラーが頻繁に起こります。
脳が得意なのは抽象的な計算です。
そのため僕たちが何かを忘れるのも脳の立派な機能の一部です。
抽象的な計算には、数字の計算のように必須な因子が少ないためです。
因子がかけていたらその他の因子で補えてしまうのが脳の抽象的な計算です。
自然とはそもそもが抽象的なものなので脳が得意なのも当たり前のことですね。
対してコンピューターは具体的な計算に向いています。
数字や因子を与えられれば、それを忘れることなくしっかりと記憶し、計算を行います。その点に関しては人の脳より間違いなく機能は高いです。
しかし、抽象的な計算には向かないばかりか、そのための機能はほぼゼロです。
この自然界に元からあるもの全てが抽象的なものです。
なのでそれらのことをコンピューターが計算するためには人間が具体的な数字や因子に置き換えてあげなければ計算できません。
例をあげます。
今僕が書いているこの文を皆さんが見て認識している一連の流れです。
この流れは僕の脳と、コンピューター、そしてあなたの脳によって成り立っています。
赤の部分が脳の計算領域。青の部分がコンピューターの計算領域です。
今僕は脳の中にあるアイデアを持っていて、皆さんに知ってほしいと思っています。
抽象的である各アイデアを頭の中で計算してまとめ上げ、より良いアイデアに仕上げます。
そしてまた脳を使ってその抽象的なアイデアを”言葉”という因子に置き換えます。
言葉に置き換えられたことによって僕のアイデアは具体性を持ちます。
そこでその因子をコンピューターのキーボードに打ち込むことでたくさんのバイナリが構成されて文体化し、一つのミスも無しにインターネット上に出ます。
僕の記事を発見した読者のあなたが記事をクリックをすることで、僕のコンピューターが作り上げたバイナリがあなたのコンピューターに読み込まれ、”文章”や”画像”という具体的な形で表示されます。
そこに表示された文章や画像を読み取ってあなたの脳が認識します。最初は”文章”という具体的なものだったのを脳が読み解いていき、抽象的なアイデアに変換され吸収されます。
その結果、初めてあなたの脳が僕の考えを理解します。
上の例を見れば一目でわかる通り、始まりと終わりは”人間の脳”です。
つまりこの自然界において、コンピューターというものは人間の脳なくしては意味をなさないものであり、
どんなに高機能なコンピューターでも人間の脳の子供のようなものなんです。
しかしこの上下関係も今のところはです。
コンピューターに抽象的な計算が一度できてしまえば、正確性で劣る人間との上下関係は間違いなく逆転します。
それがマトリックスなどのSFでよくある機械に支配された世界であり、たくさんの人が危惧する人工知能のリスクです。
コンピューターはどうすれば抽象性を理解するのか
人間の脳とコンピューターの具体的な違いは上に書いた通りですが、
コンピューターが人間のように抽象性を理解するときは来るのでしょうか。
抽象性とは言い換えれば意識や、心と言い換えることができます。
コンピューターも人間の脳も計算方法が違うだけで、電気信号であることには変わりありません。
コンピューターはインターネットを介して世界中につながっています。
これも電気信号の繋がりだとするならば、www(ワールドワイドウェブ)は10億のインターネットホストがつながっているということです。
人間の1000億の繋がりには及ばなくとも、その多大な電気信号の繋がりには意識のかけらも見当たりません。
ウェブは数年ごとに大きさが二倍になっているため、人間の神経細胞の数に着々と近づいているのですが、インターネットを媒介として機会が自我をもつというようには到底思えません。
そのような違いはどこにあるのかと考えると可能性として出て来るのが、
次元の違いであり、そこが僕の考える量子コンピューターとの関連性です。
先月の中ばに、脳の新しい構造が発見され、その神経構造の次元が11次元にまで及んでいることが発表されました。
↓元の記事。読みたい方はフルの論文も記載されています。
Blue Brain Team Discovers a Multi-Dimensional Universe in Brain Networks
その新しい構造を発見したのは数学的用語でいう代数的位相幾何学という考えを初めて脳の研究に用いた結果です。
重要なのは、脳の中には三次元では理解できない構造があるということです。
論文によると、脳が刺激を受けた際に脳の神経細胞は多次元的なオブジェクトであるクリークや空洞を形成するようです。
一次元の棒から始まり、平面、立方体と徐々に高次元の繋がりを構成していきます。
これは上で書いた代数的位相幾何学の観点から考えられ、マウスの脳を用いて確認されたようです。
勘違いしてはならないのは、ここで言われる次元とは代数的位相幾何学の中で使われる図形の次元であって、
例えば4次元は時間などといった現代物理学的な次元とは違ったものです。
今までの脳の見方は全て三次元の見方でした。
しかし今わかった情報だと、脳には多次元の構造があり、
コンピューターは今の所、三次元の構造のみです。
こうして実際に別次元の形を神経の繋がりが形成しているという認識があれば、意識とは三次元の神経の繋がりから生まれるものではなく、
より高次元の繋がりの中にあるのではないかと考えることができます。
ではコンピューターが脳のように、高次元の繋がりを持つことは可能なのでしょうか?
今回はあまり踏み込めませんでしたが、
次回でようやく未来のコンピューター、量子コンピューターについて掘り下げていきます。
前半だけでも長くなってしまった、、
あとは後半に続きます!
