最近ニュージーランドでビザを新しく申請しようとしているところですが、そこで思ったことがあるので今日はちょっと鍼灸?関連の話です。
僕が以前にやっていたブログで鍼灸学士の学位を取得した時の話をしていました。
でもその話が全て話が終わる前に以前のブログを中断してしまっていたので、今回はその件について話そうと思います。
以前の記事を読んでいない方でもわかりやすいと思うので以前のブログで書いていたことも記載させていただきます。
資格とかの話です。先に言っておきます。
興味なければ面白くないですよ笑
僕は専門学校を2013年に卒業し鍼灸師となり、
その2年後である去年の8月に鍼灸学士を取得しました。
僕は専門学校1年生の終わりか2年生の始めくらいに海外に出ることを考え始め、その当時はカリフォルニアの大学院に進学したいと思っていました。
いろいろと調べ、その時からこの鍼灸学士取得を考え始めて、
計画通り無事に2年半後に取得できました。
では鍼灸学士を持っているとなにか変わるのか。
どうやって取得するのか。
そのあたりについて数点説明いたします!
まずはほとんど常識だと思いますが、軽く学位について説明です。
1.専門学校か大学か
日本で鍼灸師になるためには、厚生省に定められた養成学校を卒業し、国家試験に合格する必要があります。
基本的に鍼灸科のある専門学校、もしくは大学を卒業することになると思います。
その中でも鍼灸師養成学校とされる大学は日本全国で15校程度と数が少ない為、専門学校を卒業する方が多いのではないでしょうか。
自分も長崎の専門学校を卒業しました。
専門学校を卒業すると、専門士という称号が与えられます。
よって専門学校を卒業した鍼灸師は鍼灸専門士と呼ばれます(知らない人もいるかもしれません)
あくまでこれは称号であって、厳密的には学位とは区別されているようです。
一方、大学を卒業した場合、学士を授与されます。
鍼灸学科を卒業したのであれば、鍼灸学士と認定されるのです。
この二つの違い、実は大きいんですが日本にいればなかなか実感できないかもしれません。
2.学士と専門士
日本で鍼灸師として働かれている方はお分かりかと思いますが、鍼灸師は技術が最も重要です。
それは鍼や灸自体の上手い下手だけではなく、患者との接し方やケアの仕方、人間性などを含めたその人自身に帰属する技の多さが重要視されがちなのです。
なので学歴が違ったからといって給料が大して変わるわけでもないですし、就職が有利になるわけでもないですし、開業してクリニックに来てくれる患者さんが特に気にするわけでも、多分ありません。笑
鍼灸学士を持っててちょっとだけ違いがでるのは、進学を考える時や、教員になろうと考える時ぐらいですかね。
ですがこの二つの大きな違いは、海外に出た時に顕著に現れます。
海外で働きたい!と思い立った時、もちろんまずは言語やビザ関係など様々な壁があります。
しかし、鍼灸師という技術職の場合もうひとつ別の問題がありますよね。
そう、資格です。
日本で取得した国家資格は日本国家のものであって、海外に出れば価値がありません。
基本的に別の国で鍼灸を行う場合は、そこの法律に従って必要であれば再度資格を取りなおさなければいけません。
専門士は英語でDiplomaと呼ばれます。つまり、Diploma of acupunctureが鍼灸専門士です。
これは日本と同様で、どの国でも資格とともに持っているからこそ使えるのであって、学位ではないdiplomaのみでは医療に携わるような許可を得るのは基本的に難しいです。
もちろんその国次第ですが、基本的にどの国も少なくともdiplomaは持っていないと鍼灸師にはなれないので、だったら外国人のdiploma保持者よりも自国の鍼灸師を優先して仕事させますよね。
一方で、学士は英語でBachelorと呼ばれます。どの国でも共通していることはBachelor of acupunctureを持っている鍼灸師は基本的に大学を出ています。
それは最低限の証明にはなるため、国によっては”鍼灸学士以上”が資格となっているところもあります。
日本のように専門学校がなく、鍼灸をするには大学をでないといけない国は学位自体が資格となるところも多いです。
また、カリフォルニアなどは基本的に大学院を出なければ資格が下りませんが大学院の進学が可能となるのも学士保持者からです。
何より、鍼灸という技術を武器に海外に出る場合、自分の職と同じ学位を持っていればそれだけビザも下りやすくなるため、活動できる国が増えます。
まずはビザが下りないことには資格以前に海外で働けないので。
鍼灸師という職業は世界中にあります。これは海外で働くには有利だと思います。
学士を持っていてもそのままでは活動できない国ももちろん多くあります。
しかし資格は取得したその国でしか使えませんが、学位は全世界共通なので間違いなく一つの武器になると思っています。
3.では海外を考えると大学が正解なのか
以上で説明したことを考えて海外で活動することを考えて、鍼灸学士を取ろうと大学を選んだとします。
それは最も安全な選択肢だと思います。
しかし大学の場合は専門学校と違い、四年制となるため1年卒業が遅れてしまいます。学校にもよりますが学費にも差が出るかもしれません。
それに今専門学校に通っていて海外を考え始めた人は今更学校を大学に変えるのは大変です。
上にも書いた通り、私は専門学校を卒業しました。
専門学校の途中で海外を考え始めたので、学士を取りたいと思った頃にはすでに二年生でした。
そこでいろいろ調べて辿り着いたのが、学位授与機構。
それは、
学位を持たない有資格者に対して、不足の単位を補い、特定の方法で知識を証明した場合に限り、学士を授与する
という機関でした。
つまり専門学校を卒業した後、鍼灸大学でなくてもどこでもいいのでどこかの大学で単位さえ取ってしまって、あとは自分の知識を証明すれば学士が貰える、というわけです。
加えて三年制の専門学校であれば最短1年での修学で応募できます。
専門学校も含めると実質4年ですので大学ともかかる年数も変わりません。
通信制大学等に入れば、仕事しながらでもその最後の一年を過ごすことができます。
自分の場合、最後の年はマレーシアで語学を学びながら受けました。
日本の通信制大学は格安で、海外からインターネットで試験も課題もこなせる学科もあるので、非常に助かりました。
こんなに画期的な学位授与機構ですがあまり認知されていないことが少し悲しいです。(少なくとも僕は知りませんでした笑)
ましてや鍼灸学士を学位授与機構からとろうなんて考える人はほかにいたのでしょうか。日本じゃ必要ないですもんね。
以前調べていた時はなんの情報も見つからず本当に鍼灸学士を今まで取った人がいるのか少し不安でした笑
なにがともあれ、このような形で自分は鍼灸学士を取得しました。
専門学校に入ってしまったために学士を諦めるなんてことは全く必要ありません。
海外での活動を考える鍼灸師であれば、学士は持っていて間違いありません。
海外で働くということは、どこかで永住権、もしくは市民権を取得してそこに落ち着く以外、一生ビザ問題と戦い続けることになるのです。
そして今は法律的に大丈夫でも滞在している国が将来鍼灸に関する法律を厳しくしないという保証はどこにもありません。
そうなった場合は、他の国に移るか、転職するか、資格を取り直すことになります。
学士を持っていても完全に安全ではありませんが、間違いなくビザ取得に関しても、いざという時でも、進学にしても有利に働いてくれます。
長々と話してきましたが、ここで例を挙げます。
今まさに僕はその鍼灸学士に助けられています。笑
上にも書いた通り、今僕はニュージーランドでビザを新しく申請しようとしています。
ニュージーランドで技術職としてビザを申請する場合、ANZSOに定められた職業レベルに合う経験、もしくは学歴が必要になります。
鍼灸師(Acupuncturist)の場合、Level1という比較的高い職業レベルに配属されているため、Bachelor(学士)以上の学歴、 もしくは5年以上の実務経験が必要になります。
リンクです↑
つまり専門学校を卒業して鍼灸師としてしばらく働いてても、専門学校では学士を取得できないため、5年以上経っていなければニュージーランドで鍼灸師としてビザを持って働くことは実質できないということになります。
5年以上の経験があるから大丈夫だ、と思うのも安直です。これはニュージーランドの場合であって、国によってはさらに厳しく規定されていることも多く実務経験がさらに必要なところもあります。
そしてこの実務経験を認めてくれているのが国の方針でいつ変わるかもわかりません。
法律は本当にコロコロ変わります。いきなり変わってビザの更新ができなくなってから焦っても遅いです。
国の不安定な規定にすがるよりも、自分の資格レベルをあげてた方が何かと安全で臨機応変に対応できると思います。
今から海外を考えていて学士は欲しいと思うけど、もう働いてるし学校に行き直すのは難しい、、
そう考えている人は、ぜひ学位授与機構をチェックしてみてください!
通信制大学等では仕事が終わってからでも単位取得のための勉強は夜間にできますので。
ただ、多分通常の大学を卒業しての学位取得より、神経を削るかと思います。
結構面倒な手続きとかありますし、学業成果という論文的なものも書かないといけませんし、自分で全て計画してマネジメントしないことには、周りには同士も誰もいないので何も進まなくなります。
次回でもっと詳しく学位授与機構からの学位取得についてのプロセスや、
自分の学業成果などについて説明しますね!
以前のブログからすべて読ませて頂いて勉強になりました。
僕も海外に出てみたいと考えている学生です。
今後も更新楽しみにしています!
はるさん、コメントありがとうございます。
ためになる情報をなるべく多く更新できるよう頑張りますね。勉強頑張ってください!
はじめまして。
突然のコメント失礼させて頂きます。
私も鍼灸師のお仕事をしているのですが、貴ブログを拝見して学士にとても興味をもちました!
その後、学位授与機構に問い合わせてみたものの取得の方法があまり理解できずでした涙
大変、恐縮ではありますが、ぜひ取得するまでの詳細や難点などご教授頂けませんか?
長々と失礼致しました。
よろしければ個人のアドレスをお伝えすることも可能ですので、どうぞアドバイスよろしくお願い致します。
Iさん、コメントありがとうございます。
はい、近々更新する予定です。説明することが多く、細かく説明すると数回に分けなければならないので少し時間がかかるかもしれませんがなるべく早めに上げます。もし分からないところがあれば分からない部分を絞って聞いていただけると僕のわかる範囲でよければ答えますよ!
Kさん、嬉しいお返事をありがとうございます!
更新楽しみにしていますね!
調べていてわかったことはなかなか細かいですよね。
私が知りたいのは
①鍼灸学士を取得できる大学で通信が可能な大学がどれぐらいあるのか。
②レポートなど含め通信の総合的な難易度
レポートは必ず提出しなければなりませんか?また難しいでしょうか?
③入学?時期などのタイミングは決まっているのか。
④取得しなければいけない単位数や単位の科目。
⑤大学入学までに必要なこと
⑥学位授与の試験に必要なこと
現段階では以上でしょうか。
もし来年の4月から入学すると言うことになれば行動しないとと思いコメントさせて頂いた次第であります。
長々と失礼致しました。
お時間あるときにご回答頂けたら幸いです。
Iさん、返事が遅れて申し訳ありません。
聞かれた点について答えられるよう早めに記事を書こうとしていましたが時間がかかりそうなので取り急ぎここに回答しますね。Iさんも色々と計画しないといけないと思うので。
①鍼灸学士を取得できる大学で通信が可能な大学がどれぐらいあるのか。
-学士を申請するために追加で取る単位(積み上げ単位と言います)はどの大学のものでも適応されます。なのでどこでも構いません。大学に入学しなくとも科目履修という形で受講するのも大丈夫ですし、科目履修であれば複数の大学から単位を取るということもできます。通信制大学の数はここに挙げられないくらいあると思いますし学校によって特色、そして違ったシステムがあるので自分でベストだと思う学校を見つけるのがいいと思います。
②レポートなど含め通信の総合的な難易度
レポートは必ず提出しなければなりませんか?また難しいでしょうか?
-レポートは必須です。難易度ですが、厳密には”学習成果”となっています。”論文”ではありません。なので自分で革新的な発見をしなくとも、研究機関を用いてエビデンスを提供しなくても、しっかりと考察され、自分なりの答えとその理由が文内で説明されていれば大丈夫なレベルだと思います。
③入学?時期などのタイミングは決まっているのか。
-学位授与機構に応募するチャンスは春と秋で年に二回あります。基本的に大学の単位の積み上げが取り終わる時期に合わせて応募します。
④取得しなければいけない単位数や単位の科目。
-積み上げる単位数は卒業した学校によります。3年制の専門学校で総授業時間数が2,550時間以上であれば最短一年の就学、31単位以上の取得で申請できます。3年間の学校でも総授業時間が2,550時間に満たない場合には最短2年間の就学、62単位以上の取得でokです。
単位の科目は大まかに取る科目の分野が決まっているだけで厳密な”この科目”というわけではありません。大まかに言うと外国語の数単位、専門的な科目を数単位、あとのほとんどは自由に取っていい科目です。
⑤大学入学までに必要なこと
-入学手続きと学費と通信大学であればパソコンの用意ぐらいではないでしょうか。Macだと少し苦労する通信制大学もあります。(僕がそうでした)
⑥学位授与の試験に必要なこと
-試験は自分が書いたレポートから出題されます。なので自分でしっかりと考えて書いたレポートであれば大した準備は必要ありません。強いて言うなら何度もレポートを読み直して、どんな質問が来てもある程度説明できるようにイメージトレーニングするぐらいではないでしょうか。
さらに細かいところはいつか記事の中で説明しますね。計画することがたくさんあると思いますが頑張って下さい!
Kさん、お忙しいところお返事ありがとうございます!
さらに細かい詳細までご丁寧に教えてくださり感謝です!
31単位というと相当な。。単位数ですね!計画たてて頑張ってみます!
貴重なお時間をありがとうございます。
今後ともブログの更新楽しみにしています‼
またなにかありましたら、どうぞよろしくお願い致します。
Kokiさん初めまして、Ayakaと申します。
私は現在日本に住んでいますが、鍼灸師としてニュージーランドへの就職、永住権を目標にしている者です。
質問があるので、ぜひ教えていただきたいです。
「ニュージーランドで技術職としてビザを申請する場合、ANZSOに定められた職業レベルに合う経験、もしくは学歴が必要になります。」と記載されていますが、こちらは就労ビザ申請時の話でしょうか。
私は現在学士を持っていないため、もし就労ビザ申請時にこちらの条件が必要となると、ニュージーランドでの就労ビザ取得は厳しいのかなと思いました。泣
私の場合、まずは鍼灸師として就職することが大きな壁ですので…。
ちなみにワーホリビザはまだ使っていないので、最初の1年で就職先を見つけ、就労ビザをゲットしたいと思っておりました。
個人的な相談になってしまい申し訳ございませんが、少し混乱したため、もしお分かりでしたら教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
Ayakaさん、コメントありがとうございます。
申し訳ないですが僕は法律やビザ関係のプロではないので厳密にYesかNOとは言えません。ですが記事に書いた以上、僕のわかる範囲でお答えします。
NZ移民局が定めた法律で、技術職(Skilled Occupation)としてニュージーランドでビザを取って働く場合、”AUS-NZ職業分類表”という表に従ってその職業がどのレベルか振り分けられる様です。
その中で鍼灸師(Acupuncturist)は最も高いレベルのLevel 1に振り分けられています。 Level 1の職種でビザを取って働く場合には、Bachelor以上(日本でいう学士[大卒]以上)の学歴、もしくは5年以上の実務経験が必要となっているみたいです。実際のページで確認してみてください。
Acupuncturist ANZSCO←鍼灸師のスキルレベル
Skill Level ANZSCO←各スキルレベルに必要な要件
最初に申し上げた通り僕はプロではないので断言はできません。Ayakaさん個人の状況をプロであるNZ移民アドバイザーの方に相談してみることをお勧めします。簡単な相談なら無料で聞いてくれるところも多いです。
僕もNZには鍼灸資格はないとばかり思っていたため、鍼灸師の知人、そして移民アドバイザーの方にこの話を聞くまではその様な規定があるとは知りませんでした。ニュージーランド人なら鍼灸の資格は要らずとも、NZで技術職としてビザを取って働く外国人にはそれなりの経験が必要ってことだと思います。
NZを目標にしているということで、気の落ちる情報だったかもしれません。ですが実際にその地に行ってから知るよりも、今からなら色々と準備することができると思うので気を落とさず頑張ってください。必要なことを一つずつ着実にクリアしていけばどんな目標でも絶対クリアできます。応援しています。
*追記です
僕もワーキングホリデーで来て、約一年間はそのビザでこちらのクリニックで働きました。ニュージーでの鍼灸師としての登録も問題なくできて、ACCという保険制度も問題なく使えてました。なのでビザ申請時に職種を特に問われない一年間のワーホリでは、こちらで働くことは可能だと思います。問題は職種を問われる就労ビザ、永住権の獲得の時ではないかと認識しています。
Kokiさん、ご丁寧なご返信ありがとうございます。
とんでもございません!
私にとって現地の方の情報は、最高のモチベーションになります。
ビザをスムーズに取得する為にも、今はもう少し日本で準備をしていこうと思います。
ワーホリビザも無駄にできませんので、アドバイザーの方にも相談してみます!
ニュージーランドの情報もとてもありがたかったですが、こちらのブログで鍼灸学士の詳細も初めて知り、選択肢が一つ増えました。
Kokiさんのブログに出会えて本当に良かったです。
これからもブログ更新楽しみにしています!